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歯周病菌とその予防とは?

こんにちは。
今回は歯周病の原因細菌とその感染の予防について記事にしたいと思います。
この記事を読む前に前回の「歯周病はどのような病気でしょうか」
https://www.miyashima-dental.com/content/49/
をお読みいただけると、よりわかりやすいと思いますのでよろしくお願いします。

歯周病の原因細菌の話をする前に、ヒトの常在菌のことに触れたいと思います。
ヒトにはたくさんの細菌がいて、その細菌は常在菌と呼ばれています。
常在菌のほとんどは善玉菌として、ヒトと共存関係にあり私達の健康に役立っています。近年では、ヒトの常在微生物叢をマイクロビオーム(microbiome)と呼ぶようになりました。
ヒトは赤ちゃんの頃から色々なものに触れたり食べたりしてそれぞれのマイクロビオームを形成していきます。
常在菌と聞いて一番最初に思い浮かべるのは腸や皮膚の常在菌ではないでしょうか。
実は口の中にも約500~800種類、1000億~2000億個の常在菌がいます。

その沢山の細菌の種類のなかで、歯周病の進行に強く関与している細菌はたった「3種類」です。
その3種類は、P.gingivalis,  T.forsythia,  T.denticolaの3種類で、レッドコンプレックス(Red complex)と呼ばれています。特にP.gingivalis(P.G菌、ピージー菌)に感染しているかどうかが歯周病のリスクに大きく関与しています。

私が歯周病菌の話をするとき、お口の中を電車の席に例えます。
赤ちゃんの頃は電車の席には誰も座っていないですが、時間の経過とともに段々と細菌が座るようになります。
ほとんどの細菌は善玉菌ですが、空席のある段階でレッドコンプレックス、特にP.gingivalis菌がたくさん座ってしまうとその方の歯周病リスクは高くなります。
P.G菌に感染=歯周病発症というわけではないですが、その方は一生歯周病の発症リスクと戦うことになります。
考え方を変えると、P.G菌に感染する前に善玉菌で電車の席を埋めてしまえばその方の歯周病リスクは下がります。

それでは何歳ごろにお口の中の細菌叢は完成するのでしょうか。
お口の中の細菌の定着は、新生児が産道を通ったときからはじまると言われており、むし歯菌の定着は乳歯が出てくる生後6ヶ月に始まります。
しかし、P.G菌は高校生までのお口の中からは見つからず、18歳以降の思春期後に定着します。
なぜ18歳以降なのかはわかっていませんが、歯周病予防の要となるP.G菌は18歳以降に感染するようです。
P.G菌などのレッドコンプレックスの感染を阻止するためには、小さい頃から正しい歯磨きやフロスの習慣(セルフコントロール)を身に着けて、定期的に歯科医院でクリーニングを受けることが大切です。
セルフコントロールと歯科医院でのクリーニングを繰り返し行うことで、悪玉菌の住みにくい環境を作ることができ、善玉菌の多い細菌叢を作ることができます。もちろんこれは虫歯予防にも繋がります。
また、子どもの頃に歯列矯正をすることで歯並びの見た目だけでなく、掃除をしやすい環境を作ることができます。

ご家族で歯科医院にご来院いただくことで、ご家族皆様の虫歯や歯周病の予防に繋がります。
令和6年4月に開院する東海市加木屋町の歯医者みやしまデンタルクリニックでは、皆様に安心して通院していただけるようにお一人お一人のライフステージやリスクにあった歯磨きや道具の提案などを行っていきますので、ご来院をお待ちしております。
次回は今回たくさん出てきたP.G菌について更に詳しくご説明したいと思いますので、よろしくお願いします。

 

参考文献
天野敦雄(2020)歯科衛生士のための21世紀のペリオドントロジーダイジェスト クインテッセンス出版株式会社